道徳教科書(中1)への横断的コメント

前稿の中1道徳教科書8社読み比べの教材評価に基づいて、幾つかのテーマで横断的なコメントをまとめた。各社教材の類似性から浮かび上がる問題点などを指摘し、好ましい教材と対比させたり、可能なものは提言も添えた。本ページはそれらへのリンク集と概要である。
(横断的コメント全てのpdfはここ

イジメ防止に役立たたず、むしろマイナスではないか?
現実の教材を読む限り、道徳教育はイジメ防止に役立たず、むしろマイナスではないかと指摘。イジメの本質に触れた教材を参照しつつ、学校教育そのものにイジメの原因が内在と考察。学校教育は日本国憲法に則ったものであるべきとの大本に立ち返えれば、「個人の尊重」「一人一人がかけがえのない存在」が鍵となる。

身障者と健常者で個性の二重基準
身障者に関する教材は良いものが多く、個性的に描かれ、「個人の尊重」の見本のよう。健常者の描写は一転して個性が乏しく、没個性的な振る舞いが暗黙のうちに想定されていると指摘。個性は新しい価値を生むもので“も”あり、特にユニークな発想を大事にして貰いたい。

勤労とは、耐えて、頑張り、やりがいを見い出すものなのか?
「勤労」の教材は、際だって偏った価値観を呈することを指摘。このような「亡国」教材が、若者に未来を暗く厳しく感じさせていると推察。

意見を述べ討論する訓練を!
日本の学校教育に最も欠けている部分と、筆者が個人的に考えるもの。将来の日本を背負う「主権者」として、生徒には自らの意見を持ち、言うべき時に言う訓練を受けて貰いたい。

ネット/SNSの注意点を包括的に!
深刻なプライバシー流出・拡散や犯罪に巻き込まる前に、ネット/SNSでの一般的注意点、トラブル対応などを包括的に生徒に提示することが望まれる。

「権利には義務が伴う」は間違い
間違った「権利と義務」観の3教材を批判。法律やルールの目的は、結局は基本的人権を守ること。「遵法精神、公徳心」はこのような観点で論じるべき。

 


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