デタラメな安倍外交、対米追随と反中国でドツボに

安倍政権の外交は、特に昨秋から失態続きで、驚くほどお粗末である。外務省の言うことを聞かずに、安倍本人の判断で暴走しているようだが、ことごとく裏目に出ている。 本稿はそれらを纏める。

米大統領選挙ではヒラリーが当選すると決めつけ、9月にはヒラリーにだけ会うという前例のない行動をとった。あからさまなヒラリー応援であり、トランプ陣営を怒らせたに違いない。読みが外れてトランプが当選したら、大慌てで会談を早々と設定する。コネがないので、韓国統一教会関係者経由でアポを取ったと言われる。宗主国の予想外の後継者に慌てる属国さながらの無様な動きだ。

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就任日にTPP離脱と言明するトランプ

安倍はトランプと特にTPPに付いてはしっかり話をしたはずだが、その数日後のAPEC終了直後に、トランプはビデオメッセージを発表し、かねての公約通りに大統領就任日のTPP離脱を表明した(実際に、トランプ新大統領はその通りに実行した)。日本を含むTPP参加国に当て付けたようなタイミングであり、安倍を完全にコケにして意趣返しした。

就任前に次期大統領と会談したのも前例のない行動であり、米政府は事前に「トランプ氏はまだ大統領ではない。前例のないことはしないでほしい」と強い異議を日本政府に伝えていたという。安倍はこの警告を無視したため、今度は現職のオバマ大統領を怒らせてしまい、APECでは日米会談さえ設定できなかった。外務省は前例のないことはやらないので、全ては安倍のせいである。

オバマに借りが出来てしまったため、安倍は気が進まなないのに真珠湾に年末行かざるを得なくなった。冬休み休暇をハワイで過ごしているオバマに呼ばれて、オバマのレガシー作りに協力させられたのだ。以前から真珠湾訪問の打診はあったが、「広島と真珠湾の慰霊はセット」と見なされるのが嫌で、これまでは避けていたのである。

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安倍に冷たい視線を浴びせるオバマ

緊張の面持ちでなんとか「和解」の演出を大過なく済ませたものの、帰国翌日に、同行した稲田防衛省がA級戦犯合祀の靖国神社に参拝して、努力を台無しにした。二枚舌であり、別れた直後に「アカンベー」するような無礼な行為である。靖国神社とは、未だに残り続ける大日本帝国の構成要素の一つであり、参拝は大日本帝国への回帰心を意味する。2013年12月26日、安倍自身が靖国参拝したとき、米国大使館が「disappointed」という強い表現で抗議の声明を出したことを思い出す。

並行して行われたロシアとの交渉も無惨な結果となった。そもそもの安倍の狙いが、金はいくら掛かっても二島返還に道筋を付け、支持率を上げて解散・選挙になだれ込み、9条改悪勢力の議席数を増やすことにある。彼には、領土問題や国益より、憲法改悪が全てに優先するのだ。そんなことはプーチンは百も承知であり、クリミアを併合して支持率を上げた彼が、現時点で領土返還に結びつくような取引をするはずもなく、安倍を手玉にとって経済協力を引き出そうとした。

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ロシアは「特別な制度」を全く認めず

恐らくは外務省が必死で安倍を留めたためと察するが、結局、共同声明も合意文書も一切なかった。北方領土の共同開発を、ロシアは彼らの法律の下で行うと言い、つまり北方領土のロシア主権を認めることになり、永久にロシア領となることに繫がる。安倍は「特別な制度」と中身のない言葉を持ち出して、必死の弁解をせざるを得なかった。12/16の夜、TV各局をハシゴで生出演して同じような台詞を繰り返していたのは、当人もよほどマズいことをしでかしたと思ったのだろう。

四島が永遠に還ってこない方向にぐっと動いた交渉である。ロシアが現時点での返還はあり得ない理由として、日米安保条約を挙げたのが特に衝撃的である。条文上、米国は日本 のどこにでも米軍基地を作ることが可能なのだ! もし北方領土が返還されたら、そこにさえ基地を作ることが可能であり、ロシアが返還を拒否する格好の口実となる。日米安保条約という名の「属国」条約がある限り、北方領土返還はなく、日ロ平和条約は結べないのかも知れない。今回の交渉は、そういう認識を日本国民に持たせてしまった。

年明けて、安倍はまたアジア4カ国を訪問。テーマは中国包囲網の形成。反中国になんともご熱心である。フィリピンでは1兆円もの援助を表明しながら、ドゥテルテに「ミサイル要らない、(中国包囲網の)軍事同盟には加わらない」とピシャリと拒否され、成果ゼロ(ドゥテルテの発言全体はこちら)。ドゥテルテは日中を二股に掛けて、援助を引き出しているだけだ。インドネシアにも、べトナムにも、沿岸警備などの支援を供与するが、反応は通り一遍の謝礼のみ。

中国は南沙諸島で岩礁を埋め立てて基地をいくつも作ったが、それで何かを得たかというと、むしろマイナスばかりである。ハーグの常設仲裁裁判所は、中国の九段線領有権主張や人工島の建設などが国際法に違反すると裁定した。中国がこれを無視すると如何に強弁しようとも、国際的に無効となった事実は変わらない。ASEAN諸国や日米豪に警戒心を持たれ、今後とも非難に晒され続けるだけであり、大失敗である。

巨額の建設費を掛けて形は作ったが、名も実も取れない中国に対して、フィリピンを始めとする周辺国は実利をとる対応を取り始めている。ましてや中国包囲網の軍事同盟を作り、緊張を高めることなどあり得ない。トランプは「一つの中国に拘らない」と中国に揺さぶりを掛けているが、対中貿易赤字を減らすのが狙いであり、金が掛かる軍事的な対立には踏み込まないだろう。気がつけば、中国をしゃかりきに敵視し続けているのは日本・安倍政権だけという状況になっている。

このカテゴリーの別稿で論じている通り、中国の脅威はさしたるものではない。武力衝突などの起こる可能性は極めて低い。中国は最大の貿易相手国であり、2016年には637万人もの訪日客があった。この経済的、人的結び付きだけでも、申し分のないほどの安全保障になっている。

安倍政権が中国の脅威を必要以上に煽るのは、敵を設定して憲法9条改悪、軍国化の方向に世論を誘導するためである。反中国は手段のはずなのに、いつの間にか目的化しており、修正が難しくなっている。中国の脅威を煽れば煽るほど、日米安保が重要と言わざるを得なくなり、どんどん対米従属に陥っている。しかし、日米新ガイドラインではむしろ「米軍は日本を守らない!」と思う方が正しい。

安倍政権が尖閣などで中国との緊張を高めていることに対して、オバマ政権はあからさまな不快感を示していた。無人島の領土紛争などに、間違っても巻き込まれたくないからである。トランプ政権ならどうするだろうか? 尖閣がどうなろうと全く無関心で、「とにかくもっと金を出せ」と言うだけだろう。

安倍は相変わらず「日米同盟は外交の基軸」と壊れたテープレコーダーのように繰り返しているが、その実態は上に書いた通り、ヒラリー、トランプ、オバマと次々にゴマすりと掌返しの連続で、信念のなさや不誠実さはまるでネズミ男である。一方のトランプ大統領は「America First」と、経済的利益を最優先にしており、同盟関係なんぞは二の次である。対日貿易赤字が大きいので、日本には厳しく当たってくるだろう。米国から真に自立する絶好の機会なのであるが、対米追随・反中国を金科玉条としてきた安倍政権は、果たしてこの事態に対応できるのだろうか? ますます卑屈に国益を損なう売国奴になる のではないかと、非常に懸念している。


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