【中1道徳教科書への横断的コメント】
ネットやSNSは、従来型コミュニケーションとは違う側面がある:
- 初心者が単独で始めるのがほとんどと思われるので、親や周囲から見本を学ぶことが少なく、ありがちな失敗を各自が繰り返しやすい。
- いったん発信したものは、当人が消しても、どこかに履歴やコピーが残り続ける可能性が高い。深刻なプライバシー情報が流出・拡散してしまうと、その生徒の生涯に亘って影響しかねない。現実の失敗から学ぶのでは遅すぎることもある。口頭で話す以上に、ネットでの発信は慎重でなければならない。
- 匿名性ゆえに大人と子供の区別もなく、子供を盛り場に一人で行かせるような面があり、不良化や犯罪に巻き込まれる切っ掛けになりかねない。
従って、仮想のありがちな失敗例を示す必要性は理解できる:
(○:ポジティブ、▼:ネガティブ、・:ニュートラル評価; 矢印は注記)
▼日本教科書1・p. 98「グループ」 ←LINE、書き込みの画面コピーが友達に筒抜け
▼教育出版1・15「ルールとマナー」 ←LINE、誹謗中傷の書き込み
▼学校図書1・3「博史のブログ」 ←同級生のカンニングを暴露、ウソも書く
これらをネガティブ評価とするのは、教材のフォローで注意点をキッチリ指摘していないこと。特に、下2例は、名誉毀損になりそうなヒドい例を堂々と教科書に載せておきながら、明確に否定していない。悪い見本を示しただけになりかねない。
対して、好ましいと思う教材は:
○学研教育みらい1・14、廣済堂あかつき1・24「ネット将棋」
・光村図書1・p. 86「ネットの書き込み、大丈夫?」
「ネット将棋」は、ネットでは顔が見えないからとズルばかりする子と、お手本の子とを対比させて展開する構成が分かり易い。 光村図書のは、SNSなどで、自分や友達への否定的書き込みがあった場合に、具体的な対処を示している。
これらは限定された範囲の例であるが、もっと幅広く、ネット/SNSでの一般的注意点、トラブル時の望ましい対応などをまとめて、包括的に提示することが望まれる。