尖閣問題:中国の揺さぶり作戦をしっかり押し返した状態

senkaku「尖閣諸島周辺では中国の領海侵入が繰り返され」るようになった経緯を明らかにするために、尖閣諸島に関わる最近の主な動きを拾うと:

  • 2010年7月:中国、レアアース輸出枠を大幅に減らすと発表
  • 2010年9月7日:中国「漁船」が領海侵犯、逃走時に海保巡視船に衝突を繰り返し2隻を破損、船長を逮捕;その後中国はレアアース輸出制限強化で日本を揺さぶる
  • 2012年4月16日:石原都知事、米国ヘリテージ財団にて尖閣諸島購入方針を発表
  • 2012年9月11日:日本政府、尖閣諸島を国有化、以降中国「公船」による領海侵犯が日常化
  • 2012年9月15日:中国各地50以上の都市で反日デモ・暴動が発生、日系企業に多大な被害
  • 2012年12月21日:米国下院、上院で「2013国防権限法」が可決、尖閣条項を含む、「第3国のいかなる行為によっても尖閣諸島に日本の施政権が及んでいるという米国の認識は変らない」、「日本の施政権下にある地域が侵略される場合には日米安全保障条約が適用される」
  • 2015年5月1日:中国、レアアース輸出関税を撤廃、「レアアース兵糧戦」に完敗し白旗

「漁船」(軍人のなりすましとされる)の突然の領海侵犯とレアアース輸出規制は、中国の計画的な揺さぶり作戦だったと思われる。当時の民主党政権の対応を試すと共に、上手くすれば何らかの譲歩を引き出す狙いだったはずだ。レアアース規制は工業的に大問題で、日本は産学官が一致協力して対策技術開発を進め、世界各国と協力して調達ルートを広げ、WTOに提訴などの対抗処置をとった。その結果、中国からのレアアース輸入量は2010→2012で1/4に激減、中国レアアース業界の売り上げは2011→2014で60%減の壊滅的状況に陥り、「レアアース兵糧戦」は仕掛けた中国の完敗に終わった。これは今後中国に対抗していく上でのモデルケースになる。

やや落ち着きかけた尖閣問題を再び騒がしくしたのは、石原都知事の「尖閣購入発言」。尖閣を実効支配し領土問題は存在しないとする立場の日本にとって、騒がれること自体が大きなマイナス。逆に最大の受益者は中国である。ヘリテージ財団は「ミサイル財団」とも皮肉られる保守系シンクタンクで、紛争地域の緊張を煽るのが得意。財団には江沢民の上海マネー献金も入っていることから、財団と中国の利害が一致する線で石原を利用したという陰謀説もある。石原当人には民主党政権への妨害や反中国世論を煽る狙いがあったはず。いつの時代でも、勇ましいことを言って対立を煽るヤツこそ自国に損をもたらす、つまりは売国奴と言える。

野田政権は国有化せざるを得ず、中国は猛反発し、「公船」による領海侵犯が常態化する。さらには反日暴動が各地で起こるが、これは私服警官らを組織的に動員した官製と言われる。さもなくば、あの中国で同時多発的に暴動が起こるはずがない。日系企業多数に被害が出るが、合弁相手の中国企業や中国人従業員のことを考えれば、中国側の損失がより多い。反日デモに反政府色が混じるのを見て、中国政府はすぐに沈静化に転じる。石原の余計な発言で日中双方の関係者がどれほどの損害を被ったことか。

中国は穏健派と強硬派との間で時には一貫性がなく揺れ幅の大きい面がある。レアアース規制や反日暴動など理不尽なことを仕掛けても、より大きな損失を被るのは中国側という教訓を彼らに与えたはずである。

米国の「2013国防権限法」の尖閣条項は、尖閣の施政権が日本にある現状を力で変えることは認めないとした。米国要人による同主旨発言が以前からなされていたが、公文書に明記されたのは初めてで非常に重要。米国は領土紛争には介入しないというのが伝統的立場で、中国にはそこが突っこみ所だったはずだが、尖閣条項は一歩踏み込んでそこを完全に塞いだ形になる。日本にとっては非常に有り難いこと。しかしたぶん米国は中国との衝突を回避したいのが本音で、リスクを下げるために最も有効な手を打ったものと思われる。

なお、尖閣条項の追加を(他3名と協同で)議員提案したジム・ウェッブ元上院議員は、レーガン政権時代に海軍長官を務め、イラク戦争に反対し、2012年には辺野古移設計画を見直すよう米政府に働き掛けている。現在は民主党の大統領選予備選に出馬している。

安倍首相は「尖閣諸島周辺では中国の領海侵入が繰り返され」と言うが、石原発言の因果なのだから辛抱するしかない。中国「公船」の領海侵犯ごっこは、最近減少気味にも見えるが、まだまだ続くだろう。そうしないと中国政府は国内向けに面子が保てない。街宣右翼のようなもので、毎日嫌がらせに来ても「違法ですよ」と紳士的に対応してお引き取り願うのが良く、間違っても先に手を出してはいけない。「公船」は軍艦ではないので、中国は一線を越えてはいない。対応するのは自衛隊ではなく、海上保安庁でなければいけない。

領海侵入

 


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