報道の自由度が安倍政権になると顕著に下がるという事実がある。政権によるメディア操作は首相とTV局幹部の私的会合とか自民党からメディアへの圧力など直接見えることもあるし、各局のニュース報道を比較して見れば我々自身も、一部の報道が妙に偏っているのを確認できる。
最近は独立系ネットメディアによる各紙の報道比較・批判も増えている。例として:
記事1では、読売と産経は安保法制への反対意見をまともに取り上げておらず、報道の自由はあるとはいえたいへんに偏った報道姿勢であり、読売は自民党御用新聞、産経はネトウヨ機関誌とも揶揄されている。ただし2社とも元々右寄りと広く認識されており、元々の信頼度もたかが知れているので、今さら偏っていても騙されることはない。
問題が巨大で深刻なのはNHKである。NHKへの信頼度は依然として民放よりもはるかに高い。しかし安倍政権に起用された籾井会長の下で「政府が右というものを左とは言えない」を忠実に実行しており、政権に有利なように巧妙に徹底的に報道を操作しているのが実態である。
私自身が最も驚いたのは2番目のリンク3ページ目のこの記述である:
> 元NHKディレクターの戸崎賢二氏が昨年7月に集団的自衛権の行使容認を閣議決定するまでの『ニュースウオッチ9』を分析した結果によると、〈首相や政府側の言動が放送時間(167分)の約7割を占め、反対派の市民や識者の言動はわずか77秒しか報じられなかった〉
ニュースはNHKぐらいしか見ていなかった私が、1年前に「反対意見はほとんどないのか、仕方ないのかな?」と思っていたのは、実はすっかりNHKに騙されていたからなのだ。ニュース7とニュースウオッチ9は安倍首相も見る機会が多いらしく、この2つは特に慎重に編集されている(政権寄りに偏っている)と言われる。
NHKは反対意見も一応は取り上げる。しかしその時間を短くしたり、核心画面をわざと外したりする(8/30国会デモの空中撮影など)。政権側の会見などは長めに丁寧に放映する。例えば安倍首相のコメントは切り取らずに、なるべく一段落を丸々放送しようとする。反対意見が圧倒的に多くても、具体的な比較数字はなるべく出さないようにする一方で、賛成意見はどんなに少数でも取り上げる。これが記事3にある手法で、私もたまたまこの番組を見ていて記事通りの感想を持った。
公共放送を自称し高い受信料を徴収し皆さまのNHKと標榜する一方で、その実態は安倍さまのNHK、「アベちゃんねる」、もはや政府広報なのである。NHKのやり口は読売、産経よりずっと巧妙で陰険で汚い。NHKだけ見ていると、政府のやり方でも大きな問題はないように次第に思い込まされる。NHKだけ見ていると騙されるのだ。
会長人事一つでこうなってしまうとはと呆れ、長年のNHKに対する信頼感は全く消え去った。もはや存在意義なし、解体民営化しかない、受信料は2度と払わない(裁判所から命令が来ない限り)。
安倍政権がいまだに40%近い支持率を保つ最大の要因は、NHKの巧妙で徹底的な報道操作だと思う。逆にもしNHKが反対意見をふつうに報道していたならば、支持率は20%以下に落ち込み政権も安保法制を諦めていたことだろう。世論をNHKで操作する安倍政権は実に手強く怖ろしい。どうやれば対抗できるのだろうか?