「基本的人権の尊重」が現代の道徳原理

【道徳教育全般へのコメント】

道徳的な考え方は、古くは十戒など宗教的な教えや、儒教など思想・倫理として様々な形で表現されてきた。共存共生の社会生活を営む上で、人類があまねく必要としてきた概念である。必要性は普遍的でも、その内容は年代、地域、宗教などにより様々であり、互いに矛盾する事柄も多く、中身は普遍的ではなかった。 続きを読む 「基本的人権の尊重」が現代の道徳原理

「権利には義務が伴う」は間違い

【中1道徳教科書への横断的コメント】

遵法精神、公徳心に関する以下3教材は、どうも「権利には義務が伴う」と言いたいようだが、いずれも趣旨不明で「珍妙」、無理な筋立てである。(▼:ネガティブ評価)

▼東京書籍1・3「選手に選ばれて」、主題は「権利と義務を考えて」 続きを読む 「権利には義務が伴う」は間違い

道徳教科書(中1)への横断的コメント

前稿の中1道徳教科書8社読み比べの教材評価に基づいて、幾つかのテーマで横断的なコメントをまとめた。各社教材の類似性から浮かび上がる問題点などを指摘し、好ましい教材と対比させたり、可能なものは提言も添えた。本ページはそれらへのリンク集と概要である。

イジメ防止に役立たたず、むしろマイナスではないか?
現実の教材を読む限り、道徳教育はイジメ防止に役立たず、むしろマイナスではないかと指摘。イジメの本質に触れた教材を参照しつつ、学校教育そのものにイジメの原因が内在と考察。学校教育は日本国憲法に則ったものであるべきとの大本に立ち返えれば、「個人の尊重」「一人一人がかけがえのない存在」が鍵となる。 続きを読む 道徳教科書(中1)への横断的コメント

イジメ防止に役立たたず、むしろマイナスではないか?

【中1道徳教科書への横断的コメント】

道徳教育はイジメ防止に役立つのではとの期待もあるようだが、現実の教材を読む限り、とてもそうは思えない。むしろ逆になりかねない懸念を感じる。各社イジメ教材は:
(○:ポジティブ、▼:ネガティブ、・:ニュートラル評価)

・光村図書1・p. 64「いじめが生まれるとき」
▼日本文教1・p. 35「いじめって何?」
▼日本文教1・30「自分だけ「余り」になってしまう…」
▼東京書籍1・6「傍観者でいいのか」
▼教育出版1・18「あなたならどうしますか」
▼学研教育みらい1・4「うわさで決めるの?」
▼廣済堂あかつき1・9「ヨシト」
▼学校図書1・35「卒業文集最後の二行」
▼日本教科書1・p. 56「ちゅうたがくれたもの」
▼日本教科書1・p. 104「プロレスごっこ」 続きを読む イジメ防止に役立たたず、むしろマイナスではないか?

身障者と健常者で個性の二重基準

【中1道徳教科書への横断的コメント】

こと身障者に関しては良い教材が多い。特に良いと思うのは:
(○:ポジティブ、▼:ネガティブ、・:ニュートラル評価; 矢印は注記)

○光村図書1・7「私の話を聞いてね」 ←右手指の奇形を臆することなくインスタに披露
○教育出版1・17「ショートパンツ初体験 in 米国」 ←米国では義足を隠さない
○学校図書1・1「誰も知らない」 ←通学バス停までの200mを40分掛けて毎日通う子
○廣済堂あかつき1・25「ある日のバッターボックス」 続きを読む 身障者と健常者で個性の二重基準

勤労とは、耐えて、頑張り、やりがいを見い出すものなのか?

【中1道徳教科書への横断的コメント】

教材の中でも、際だって偏った価値観を呈しているのが「勤労」である:
(○:ポジティブ、▼:ネガティブ、・:ニュートラル評価; 矢印は注記)

▼日本文教1・14「私は清掃のプロとなる」  ←清掃/新津春子さん
▼日本教科書1・p. 120「仕事と心」     ←清掃/新津春子さん
▼東京書籍1・10「新しいプライド」     ←清掃/60才パート
・学研教育みらい1・1「掃除の神様が教えてくれたこと」←清掃/TDL、正社員
▼学研教育みらい1・33「明かりの下の燭台」 ←東洋の魔女のマネージャー
▼廣済堂あかつき1・27「午前一時四十分」  ←84才が徒歩で新聞配達/集金
・学校図書1・15「一房のぶどう」      ←全盲のおじさんはぶどう農家 続きを読む 勤労とは、耐えて、頑張り、やりがいを見い出すものなのか?

意見を述べ討論する訓練を!

【中1道徳教科書への横断的コメント】

個人的な見方かも知れないが、読むだけでイライラするのが、以下の4種、10教材:
(○:ポジティブ、▼:ネガティブ、・:ニュートラル評価; 矢印は注記)

▼教育出版1・4「不自然な独り言」
▼廣済堂あかつき1・22、学研教育みらい1・30「吾一と京造」
▼学校図書1・14、日本教科書1・p. 47「いつも一緒に」
・5社で採用「銀色のシャープペンシル」 続きを読む 意見を述べ討論する訓練を!

ネット/SNSの注意点を包括的に!

【中1道徳教科書への横断的コメント】

ネットやSNSは、従来型コミュニケーションとは違う側面がある:

  1. 初心者が単独で始めるのがほとんどと思われるので、親や周囲から見本を学ぶことが少なく、ありがちな失敗を各自が繰り返しやすい。
  2. いったん発信したものは、当人が消しても、どこかに履歴やコピーが残り続ける可能性が高い。深刻なプライバシー情報が流出・拡散してしまうと、その生徒の生涯に亘って影響しかねない。現実の失敗から学ぶのでは遅すぎることもある。口頭で話す以上に、ネットでの発信は慎重でなければならない。
  3. 匿名性ゆえに大人と子供の区別もなく、子供を盛り場に一人で行かせるような面があり、不良化や犯罪に巻き込まれる切っ掛けになりかねない。

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中1道徳教科書8社読み比べ

今年は中学道徳教科書を新採択とのことで、検定合格した8社の1年生向け8冊を、教科書展示会に通って一通り読んでみた。その結果は:

・光村図書    +8
・日本文教出版  -2
・東京書籍    -3
・廣済堂あかつき -5
・教育出版    -6
・学研教育みらい -6
・学校図書    -8
・日本教科書   -14

数字は[ポジティブ評価した教材数 - ネガティブ評価した教材数]。
詳細は「コメント集」を読んで頂きたい。上記評価順に、各社に2ページを割いている。各教材の内容をおおよそ推測できるよう努めて、コメントを付している。結果的に、教材の1/3ぐらいをポジティブないしネガティブと評価した。他はニュートラルとするが、特に関心を持ったものは、それらにもコメントしている。 続きを読む 中1道徳教科書8社読み比べ

現代世界の普遍的道徳は・・・『基本的人権の尊重』

光村図書HPより(一部改変)

本稿は教科としての道徳のあるべき姿を論じるものである。

道徳的な考え方は、古くは十戒など宗教的な教えや儒教など思想・倫理として様々な形で表現されてきた。共存共生の社会生活を営む上で、人類があまねく必要としてきた概念である。必要性は普遍的でも、その内容は年代、地域、宗教などにより様々であり、互いに矛盾する事柄も多く、中身は普遍的ではなかった。

現代の世界では、共存共生の社会生活を営む上での基本的考え方は、『基本的人権の尊重』として集約され、広く人類の共通認識となっている。1948年の世界人権宣言や日本国憲法「第3章 国民の権利及び義務」に謳われている通りである。

世界人権宣言の冒頭行「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎である」がはっきりそう表明している。言い換えれば、現代における普遍的な道徳的な考え方とは『基本的人権の尊重』である。 続きを読む 現代世界の普遍的道徳は・・・『基本的人権の尊重』